住戸01 土間のある住まい
予算の割に空間を広くとれる
前は練馬に住んでいて、銀座までの通勤が大変だったんです。通勤に便利な場所は、面積が小さくて、値段は高いことが多かったのですが、このプロジェクトは予算の割に空間を広く確保できると思ったので、参加を決めました。
もっと空間を自由に
以前、新築のマンションを見せてもらったことがあったのですが、選べるのは床、壁などの仕上げに限られて、申し訳ないけれど、あんまり羨ましくなくて。もっと空間を自由にしたいなと感じていました。
リノベーションも選択肢としてはあるかな、と思っていたところで、たまたま石神井公園のプロジェクトの広告を駅で見つけました。そういえば、学生のときに、コーポラティブハウスのことを学んでいたなと思い出し、興味を持ちました。アーキネットのコーポラティブハウスの見学会にも何度か参加してみて、いいなと感じたので申込みました。
住まいづくりのノート
住まいづくりにあたってまずノートをつくりました。夫婦で話をして言葉を書きつけ、イメージは雑誌などを見て探し、写真を切り抜いて貼っていきました。建築家の川辺さんと話をするときには持っていって、打ち合わせの内容を追加していきました。設計の打ち合わせは、月1回ぐらいのペースで行いました。最後のころは出産で里帰りしていましたが、造作家具の図面を送ってもらい、赤ペンを入れたりして、やりとりを続けました。
犬のいる家をつくろう
犬を飼おうと思いました。前が緑道なので散歩にいいかなと思ったんです。ノートにも、毎回書き始めには必ず犬がいます。そのため、玄関から緑道まで抜ける土間を、廊下や部屋よりも優先しました。
最初のプランでは土間の位置に階段がありましたが、2回目の打ち合わせで、階段を別の位置に移して、土間にすることにしました。後で聞いたら、階段の位置をずらしたのはうちだけだったようですが、良かったと思っています。
仕上がりとしては、新築の建売やマンションのように、軽すぎる印象にならないようにしました。
たくさん書き込まれた住まいづくりのノート
© Takeshi YAMAGISHI
ロフトの提案
夫は書斎がほしい、けれど私は個室にこもられたくないし、PCを隅に置かれるとごちゃごちゃするからイヤ、と話をしたら、川辺さんが階段の下にロフトをつくる提案をして下さいました。ロフトの下は、カーテンを回せば一個の空間になります。ゲストが眠る場所にもなりますし、普段は畳でごろごろできるんです。
風通しのいい地下のリビング
地下だから湿気が抜けるように、というアドバイスを川辺さんから頂き、風が抜けるようにしたのが正解でした。実際、風通しはとてもいいですよ。以前お好み焼きパーティをやったのですが、両側の窓を開けておいたら、朝には、匂いは残っていませんでした。夏は涼しくて、冬はすごく暖かいです。冬は、床暖房だけで過ごせます。サッシは木枠にして、ペアガラスにしました。いいものを選んでよかったと思っています。吹き抜けがあるので寒いのではないかと心配していましたが、暖かくて本当に良かったです。
土間を広くして正解
土間は、すごく良いです。ベビーカーも折りたたまずにそのまま入って来られますしね。友人が来たときも、ベビーカーが5台縦列で置けました。
天気が悪い日でも、子どもが遊べる場所になります。地階の天井が高い分、1階の天井は低くなっていますが、土間に入ると奥のテラスが緑道に抜けていて明るく、いい効果を上げていると思います。
一体の空間に
完全な個室はトイレ、寝室、お風呂だけにしました。子どもの部屋も想定して、土間とつながる空間にカーテンレールを回しています。『頭のいい子が育つ家』ではないけれど、一体の空間の方がいいと思いました。
寝室とトイレは同じ階にしました。ねぼけて階段を下りるのは不安でしたので(笑)。すごく静かなので本当によく眠れます。玄関を開けていても、部屋の中はとても静かなんです。
細かな工夫で効率的に家事ができる
洗面所とキッチンを隣にしたので、家事の際に上下に移動せずに済みます。家事をしていても、いつも子どもに目が届くのが嬉しいですね。
洗面ボウルは二人立てる大きさなので朝は都合がいいし、その横の台で洗濯物がそのまま畳めるようになっています。
お風呂はブルーに塗って、少し雰囲気を変えてみました。お風呂の窓から青空も見えますよ。
キッチンはコンクリートで、リビングから見えないように立ち上がりをつくりました。曲がって奥まっているところにパントリーをつくり、中が見えないように工夫しました。
© Takeshi YAMAGISHI
リビングからキッチン、洗面と連続する空間。いつも子どもと一緒。
© Takeshi YAMAGISHI
地階リビング。階段の上は吹き抜けになっており、やさしい光が落ちている。
© Takeshi YAMAGISHI
玄関からテラスへ抜ける土間。風も光もやさしく入り込む心地よい空間。