お料理好きな夫婦の大きなキッチン。小さな北向きの窓から、保存樹木が見える
住戸01 憧れの建築家とつくる愉しさ
参加のきっかけ
結婚してすぐに70㎡強の分譲マンションを川崎の方で買い、10年ほど過ごしました。それから子どもが生まれて、もう少し都心で職場に近いところ、小田急沿線の代々木上原や代々木八幡あたりで探していました。そこでたまたまチラシを見て、アーキネットのことを知りました。
北向き住戸の魅力
以前の分譲マンションは南西向きで、西日が強く、とてもきつかったです。北欧家具のショップスタッフの方が、北向きの部屋なら日差しが穏やかで、家具は長持ちすると説明していたこともあり、南向きは最優先ではないと感じていました。検討段階では、子どもたちを連れて周辺を散策したり、アーキネットのオフィスで建築模型を見ました。そして、日差しの当たり方や、窓から見える周りの景色をイメージしました。ホームページや図面から読み取れない不安はほとんどなかったです。キッチンには北向きの小さな窓があり、そこから保存樹木の緑が綺麗に見えるので、今もとても気に入っています。
住まいづくりの愉しさ
都心で高層ビルが建ち並ぶ地域や、タワーマンションは視野にありませんでした。近隣住民の方々の顔が見えることや、暮らしの中で緑を感じられることを重視していたので、以前住んでいた川崎のマンションと同じように、低層で世帯数は多くない集合住宅を探しました。実は、結婚前に松陰神社あたりに遊びに来ていたことがあり、世田谷という地名のわりに、計画地周辺がのんびりして落ち着いた住環境ということは知っていました。また、一人暮らしの頃はタカギプランニングオフィスの賃貸に暮らしていたので、建築家が設計した空間には親しんでいましたし、セタガヤテラス設計の建築家(若松均氏。以下同。)の作品が好きだったことから、セタガヤテラスの募集が始まり一番最初に申し込みました。その昔、自分の実家が建て直されたとき、子どもながらに要望を設計士に伝えて、自分の要望がかたちになって嬉しかった記憶があります。その時に、「住まいづくりって愉しいな」と初めて思いました。それもあって、新築に引っ越す際は、戸建で注文住宅を建てるか、アーキネットのプロジェクトに参加するかで検討していました。当初は子どもが小さかったこともあり、妻は慎重で乗り気ではありませんでしたが、根気強く説得しました。
間仕切りができる子ども部屋。現在はソファのあるクローゼットとして。専有面積60㎡台で家族4人暮らし
人通りの多すぎない、世田谷らしさがある路地。親子でボール遊び
仕上げを黒色から白色へ変更した階段。南の中庭から太陽光が差し込む
プラン
家の中で家族それぞれが離れていても、お互いの気配を感じる生活を要望しました。面積的には70㎡弱と制約があったので、一番長くいるリビング、ダイニングの面積をなるべく広くとりたいと建築家に伝えました。また、夫婦二人とも料理が好きなので、キッチンのサイズを大きくしました。実は、募集開始当初のプランにあった4つのバルコニーの1つを、お向かいさんに引き取ってもらいました。結果的に、3つのバルコニーのうち、1つは植栽用に、上の1つはリビングへの採光用に、子どもは遊び場として使っています。もう1つはコンテナを置いてキャンプ用品の収納用に使っています。
一番悩んだのは子ども部屋です。子どもは長くて15年程度しかいないことを想定すると、やはり長く住むのは夫婦二人なので、子どもが巣立った後の住環境を見越して、間取りは可変的な仕様にしたいと思っていました。子ども部屋は今は1つですが、2段ベッドで部屋を分けたり、間仕切りサッシを入れたりできるように下地が入っています。
細かい点ではコンクリート打放しが好きなので、コンクリートの質感を感じられる箇所を要望しました。フローリングは自分の目でたくさん調べ、幅広の無垢材を要望しました。また、以前のマンションで便利だったので、ディスポーザーと大型の食器洗い機を希望しました。スイッチの場所、コンセントの数については、「後悔しないように多めに設置しよう」という記事をブログで発見したので熟考しました。
私は仕事柄、図面を見る機会が多いので、建築家のプランを見て立体的なイメージがある程度できていました。結果的に間取りはいわゆる3LDKになり、一部屋は物置として使っています。70㎡弱ですが、子ども二人、夫婦二人が無理なく暮らせることは自分たちの中ではシュミレーションできていました。インフィルの工事費調整では大きなものの方が判断しやすかったです。例えば、バルコニーのウッドデッキは、すぐ諦めました。一方で、仕様を落としても一万円程度の減額のものだと、これから数十年暮らす家なので、後々後悔しないように、仕様を落とさない判断をしました。最終的には、当初の見積もりから300万円ほど仕様を落としました。期待することが大きかったこともあり、譲れないところは最後まで譲りませんでした。
暮らしてみて
ほぼ思い通りに仕上がりました。想像していた暮らしと違和感はありません。天井のメリハリが絶妙で、床面積以上に空間の広がりを感じることが一番嬉しいです。床面積は以前のマンションよりも小さくなりましたが、子どもたちに聞くと、「今の家の方が広く感じる」と言っています。大好きな住まいなので、一分でも早く帰りたい、と思うように変化しました。掃除や植栽の手入れなど家のことに手をかけ、丁寧な暮らしを楽しむようになりました。風通しもいいです。予想以上にキッチンの使い勝手がよく、妻も気に入っています。お風呂の仕上げはショールームで見つけて気に入ったタイルにしました。外からの自然光はもちろん、お隣のお庭を借景に緑を眺めながら、気持ちよくお風呂に入れます。住みごこちは良く、周辺環境も含めて、妻も満足しています。また、子どもが友達にこの建物を誇らしげに話しているのを見たことがあり、親としては嬉しいです。
アーキネットをご検討の方に
アーキネットのコーポラティブハウスは、こういう家に住みたい、こういう生活をしたい、とイメージがある人にはすごく向いている仕組みだと思います。間取りや建材にこだわりたい人、インテリア好きな人にはもちろんですが、入居までの期間に行われる総会や、建築家との打ち合わせを楽しめる人には、とてもおすすめです。そういった話し合いの中で、「こういう暮らしをしたかったんだ」と、改めて自分たちを見つめ直す機会になりました。2年ほどかかりましたが、貴重な時間でした。互いに提案ができる建築家とのやりとりは楽しく、他の組合員と話し合える総会も心待ちにしていました。総会の後や建築家との打ち合わせの後、一緒に食事会をして組合員同士仲良くなりました。組合員は30代の方がほとんどでしたが、ご近所づきあいの輪が広がってよかったです。特に、向かいのご夫婦には、とてもよくしてもらっていて、子どもたちはサッカーの相手をしてもらったり、夜遅いときは面倒をみてもらうこともあります。
北向きの優しい光が差し込む和室
自然光に照らされた緑が見える、北向きの浴室